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Project#3 ダンブレッド種豚導入

Project#3 ダンブレッド種豚導入
Project Member
研究所/養牛・養豚技術チーム K.K.
K.K.
研究所/養牛・養豚技術チーム
2010年入社
株式会社シムコ出向 K.H.
K.H.
飼料事業本部/
株式会社シムコ出向
1997年入社
2021年よりシムコ出向
研究所 K.U.
K.U.
研究所/養牛・養豚技術チーム
1998年入社

デンマークの高性能豚を、 日本に定着させる。

〜『ダンブレッド』の飼育・飼料開発ストーリー〜

Introduction

多様な消費者のニーズから、現在日本の豚肉マーケットは、肉質重視志向と低価格志向で2極化しています。
伊藤忠飼料グループではそれまで肉質重視の豚肉を作っていましたが、お客様のニーズに応えるためには低コスト化に対応した優良育種ラインも必要だということになりました。低価格志向に対応した優良育種を検討する中、デンマークで国ぐるみで改良を行っているダンブレッドに着目。ダンブレッド日本導入・定着に向けて飼育や飼料を研究・開発するプロジェクトが動き出しました。

ダンブレッド種とは

デンマークは養豚および豚肉産業の先進国として世界をリードする存在です。そのデンマークで100年以上にわたり育種改良が続けられてきたのが「ダンブレッド種豚」です。発育、飼料要求率、母豚1頭当たりの産子数増加に重点をおいた改良に取り組んできた結果、今日では世界最高水準の多産系種豚という定評を得ています。

ダンブレッド種とは

飼育する場所がなく、急遽 簡易的な施設を作った

K.U.
K.U.

伊藤忠飼料の子会社にシムコという種豚の専門会社があるのですが、元々シムコ社の豚は、肉質が良く人懐っこくてすごく飼いやすくて、非常に評判が良かったんです。ところが、2014年頃から餌代が上がりもっと効率のいい豚が欲しいというお客様の声が大きくなってきました。そこで、シムコ社の豚よりさらに効率の良い豚、少ない餌でたくさん子供を産んでくれてたくさん肉がとれるデンマークの豚を導入しましょうということになったんです。

当時1頭100万円以上したダンブレッドの豚を14〜16頭導入。ところが日本の豚に比べデンマークの豚はサイズが大きく、そのサイズの豚を飼う場所の用意が間に合いませんでした。また、外国から輸入した豚は1カ月間の検疫があるので他の豚とは一緒に入れることができず、急遽研究所に簡易的な施設を作って飼育を始めました。

ダンブレッド社の農場にて飼養管理について意見交換を行う場面
ダンブレッド社の農場にて飼養管理について意見交換を行う場面
K.U.
K.U.

デンマークは、日本の北海道と同じぐらいの緯度でとても寒いのですが、飼われている場所は温度管理されていて非常に暖かいんです。冬の寒い時期に研究所で飼うのは、デンマークの豚仕様の施設ができるまで大変苦労しました。

繁殖成績

脂肪が少なく、肉質の改善が必要に

2016年に販売したいという会社の意向があったため、タイムリミットのある中で飼料と飼い方の研究をしなくてはなりませんでした。さらに、日本人の嗜好に合った肉質にする必要がありました。

K.U.
K.U.

デンマークでは、日本のようにステーキにしたりしてそのまま焼いて食べることはあまりしない。ハムやソーセージに加工して食べる方が圧倒的に多いんです。加工には合っている豚なのかなとは思います。

日本では、基本的に柔らかいものが好まれる傾向があります。肉質を改良するために何度も試験を繰り返す中、改善のヒントが見つかりました。

K.K.
K.K.

日本市場で好まれる柔らかさを担保するのが脂肪の量なんです。ダンブレッドの豚に、どうやって脂肪を筋肉の中に入れていくかというのを、餌や、飼い方をいろいろと試行錯誤する中で、発育とおいしさがちょうどいいぐらいのバランスになるような餌を開発しました。

餌とお父さんで肉質をコントロール

もちろん、ダンブレッドの肉質改善に餌だけでなく、飼育方法のほか、シムコが持つ遺伝資源との掛け合わせが必要になりました。ダンブレッドのメリットを損なうことなく肉質を日本人好みにするには、研究所が積み重ねてきたこれまでの知見とシムコ社の技術フォローが必須でした。

K.K.
K.K.

餌とお父さんですね。最初デンマーク産のデュロック種をお父さんにしていたのですが、やはりそれだと餌で肉質をコントロールしきれないところがありました。そこでお父さんは、シムコ社がもともと育ててきた日本のデュロック種を掛け合わせるようになりました。シムコ社に遺伝子素材があったからこそできた技です。

2018年にダンブレッドの販売が始まり、現在子会社であるシムコ社では、全国6農場ある中の2農場でダンブレッドを受け入れて増殖させています。

ダンブレッド豚
ダンブレッド豚
K.H.
K.H.

私たちは、皆さんに良質で安価なタンパク源を供給するのが最終的な役割です。高齢者など、あんまり多くは食べられないけれど美味しいものが食べたいというニーズがある一方、子育て世代など、価格重視の方も多くいるわけです。生産者の方々と共にダンブレッドのシェアを上げていきたいですね。

伊藤忠飼料グループでは、ダンブレッドという武器を加え、2つの育種ラインをもつ強みを活かして、今後もそれぞれの生産者にあった品種、飼料を提案し、豚肉産業の発展を支えます。

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