CASE
STUDY 6
有限会社大西海ファーム 様
スマホ版からデジタル目勘に注目していた。
動く豚で撮影できるのか、最初は不安だった。
数頭を撮影して基準豚を作り、後は目視判定。
それで上物率は72%で、結果には非常に満足。
有限会社大西海ファーム
本社所在地 | 長崎県西海市 |
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農場規模 | ♀1,300頭・一貫 |
年間出荷頭数 | 32,000頭 |
従業員数 | 20名 |
肥育豚種類 | ハイコープ |
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出荷基準体重 | 110~115kg以上 |
デジタル目勘導入時期 | 2020年9月 |
デジタル目勘利用台数 | 1台 |
「健康な豚の肉はおいしい」を信念においしさを追求
当社は平成10年、JA大西海(現JA長崎西彼)・佐世保食肉センター・JA北九州くみあい飼料の出資により設立され、現在は養豚4農場と肉牛1農場を運営しています。「健康な豚の肉はおいしい」を信念に、徹底した衛生管理の下でおいしさを追求したSPF豚を育てています。令和2年度には全国優良畜産経営管理技術発表会で優良事例として農林水産賞生産局長賞を受賞出来ました。今後さらにバイオセキュリティーを高め、出荷頭数の増加に取り組みたいと考えています。
IPPS20ー8からデジタル目勘に注目していた
初めてデジタル目勘に触れたのは「IPPS(国際養鶏養豚総合展)2018」で、展示されていたスマホ版で模型の豚を撮影したのが印象に残っています。「こんなもので豚の体重がわかる時代になったのか」という驚きと「模型は動かないけど実際の農場で使えるのか」と思いました。その後20年2月の長崎県スマート養豚セミナーで形が変わった現在のデジタル目勘の実物展示があり、伊藤忠飼料の秦さんから説明を受け、一度農場で試してみようと思い、20年9月に1台導入しました。
当農場は出荷しながら豚衡機で全頭を計測していました。週5回、3名1組で1回120頭は測っていました。さらに前日には人の目勘で予備選畜、背中にマークを付ける作業もあり、体重測定にはかなりの工数をかけていました。それをこのデジタル目勘に置き換えるのか、と考えると、最初は正直不安でしたし、出来るとも思いませんでした。
全部の豚は撮影せず基準豚を作り、後は目視選別
農場で実際に豚をデジタル目勘で撮影してみて「これは全部撮れないな」とすぐに気付きました。ただ撮影が目的では無く、目指すは「出荷作業の軽減」です。この道具を使ってどう省力化するか、当農場に合った運用をゼロベースで考え抜きました。
そこで編み出したのが「デジタル目勘で基準豚を作り、後は人の目で選畜する」という手法です。まず通路からデジタル目勘で数頭を撮影、背中にマーキングします。約40頭/房ならおよそ5頭の豚にマークが付けば、あとの豚は日齢や過去の傾向との組み合わせで、出荷適期かどうかの判断は出来ます。撮影は伊藤忠飼料の秦さんに農場へ来てもらい、しっかりとレクチャーも受けました。従業員には躊躇せず思い切ってシャッター押すように教えています。最初は自信が無く何度も撮影すると数字がブレて不安になりがちです。でも、撮影した豚を豚衡機で測ると誤差5kg程度で上物範囲には収まりました。省力的に上物率を維持できれば充分です。性能をしっかり確認した上で、20年8月からいよいよデジタル目勘だけの運用に切り替えました。
上物率は68%から72%に、3人一組から1人に激減
蓋を開けてみると、全てはただの杞憂に過ぎませんでした。
まず、上物率は昨年68%が72%、3人1組だった体測作業は1名に、選畜時間も以前は1〜1.5時間かかっていたのが30〜1時間になりました。デジタル目勘を使うようになり、選畜作業者の目が鍛えられたと思います。明らかに小さい又は大きい豚はデジタル目勘で撮影しなくても良くなり、目が鍛えられて選畜に自信が付けば、撮り直しも減りますので、今後さらに時間は短縮されていくと思います。また今年2月のバージョンアップで誤差も1〜2kgとなり、信頼性も向上したと思います。